古代ローマ帝国時代に作られた数々の闘技場。
市民らの娯楽施設として、剣闘士やライオンの戦い、戦車レースなど、迫力あるイベントが行われていました。
イタリアのローマにあるコロセウムが有名ですが、ここチュニジアには世界で3番目に大きい円形闘技場があります
エルジャムの円形闘技場
首都チュニスから南へ約200kmにあるエルジャムは、かつてローマ帝国の属州として繁栄した地です。
ローマの穀倉地帯と称され、オリーブを中心とした重要な交易都市でした。
博物館には当時の豊かな生活を物語るモザイクが多数展示されています。
残念ながら幾度の戦いの影響で、ローマ帝国時代の建物はほとんど残っておりませんが、唯一良好な状態で残っているのが円形闘技場です。
長径149m、短径124m、高さ36mあり、アリーナ部分は長径65m、短径40mととても大きな闘技場。
ローマのコロセウムより保存状態が良いといわれており、1979年に世界遺産に登録されました。
大迫力の闘技場
近づくにつれ段々と姿を現す円形闘技場。
周りに高い建物がないため、大きな闘技場はとても目立ちます。
街並みとのギャップもあり、異質な雰囲気を醸し出していました。
入る前からその規模に圧倒されましたが、中に入るとさらにその迫力が増しました。
ローマ帝国の崩壊後、石材が運び出されモスクの建設に利用されたため、全てが残っているわけではありません。
それでも、この遺跡がかつて闘技場であったことは十分に理解できるほど壮大です。
古代ローマ人の目線で散策
闘技場内は一部を除き、自由に歩き回ることができます。
せっかくなので、古代ローマ人の目線で闘技場を楽しんでみましょう!
急な階段を上るとそこは観客席。
闘技場全体を見渡すことができ、空に近いため開放感があります。
最大収容人数は想定35,000人、満員御礼の際はとんでもない盛り上がりを見せていたでしょう。
アリーナすぐ脇のスタンド席はおそらくVIP席。
激しい戦いの様子が目に浮かびます。
臨場感だけでなく緊張感も格別だったはずです。
そしてアリーナに降りれば剣闘士目線。
太陽と観客の目線が自分だけに降り注ぎ、目の前には強敵がいると想像すると、鳥肌が立ちます。
勝てば英雄、負ければ命を失うこともある戦い。 アリーナへ続く扉の前に立った剣闘士は、どんな思いを抱いていたのでしょうか。
アリーナの地下にも行くことができ、剣闘士や動物の待機室があります。
圧巻のローマ建築
見どころはアリーナだけではありません。
闘技場のコンコースの建築も非常に見応えがあります。
石を積み重ね、上部にアーチ状の柱を作り、その柱を繋いで一層を形成し、その上にさらに層を重ねていくという構造です。
これらの作業はすべて人力で行われており、完成までに20年の歳月を要したといいます。
古代ローマ人の知恵と情熱、そして努力の結晶を感じ取ることができました。
首都チュニスから日帰りも可能なエルジャムの闘技場。
古代ローマ人が感じたであろう興奮と歓声が蘇る場所です。
壮大さと美しさを誇るこの歴史的遺産をぜひ堪能してください。
Writer
Mamo
世界中の動物に会いに行く旅人。海外52ヶ国、国内47都道府県訪問。幼い頃に「サバンナでアフリカゾウを見たい」という夢を持ち、大学生の時タンザニアにて初サファリに参加。そこから動物を観察する旅に熱中し、これまで100を超える国立公園、動物園、動物関連施設にて動物観察を行う。世界一周経験者。