海外旅行に行く際に必ず必要なパスポート。日本のパスポートは「世界最強」といわれ、日本はビザなしで渡航できる国や地域が世界一と発表されています。
今回はパスポートの期限や手配方法についてご紹介します。
日本のパスポートについて
(1)信頼されている日本のパスポート
イギリスのジャージー島に本社を置くコンサルティング会社「ヘンリー&パートナーズ」は、ビザなしで外国への渡航が可能な国の数を「パスポートの強さ」とした調査を定期的に行っています。2021年1月に行った最新の調査結果では「日本のパスポートが世界最強」と評され、ビザを取得することなくパスポートのみで最も多くの国へ渡航できる国は日本であると紹介されました。日本国民がビザを取得せずに渡航が認められる国は現在191か国にもおよびます。2018年7月時点では189か国への渡航がビザなしで認められていましたが、2019年にミャンマーが追加され190か国となり、2020年にはブラジルが加わり191の国への渡航が可能となりました。日本は3年連続でパスポートランキングの首位を獲得し、世界で最も高い評価を得ています。
「ビザなし入国を認める」ことは、入国の敷居を低くするということです。調査の結果から、日本からの観光客の消費力がその国の経済にプラスになると期待されていることが分かります。また、社会が安定し、犯罪率が低い日本からの旅行者が不法滞在や不法就労をしたり、難民申請したりする可能性は極めて低いとみなされていると考えられます。
(2)日本のパスポートの歴史
幕末から明治初期にかけて「旅券(パスポート)」に一定した呼び名はなく、印章、印鑑、旅切手、免状などの名称が使用されていました。現代のパスポートにあたる海外渡航文書の発給が始まったのは、江戸時代末期の1866年です。初めて取得したのは曲芸団『日本帝国一座』を率いてパリ万博に向かった隅田川浪五郎という人です。当時は写真が普及していなかったので、文字で人相などの特徴が記載されていました。
その後、明治維新を経て1878年2月20日に海外旅券規則が制定されました。法令の中に初めて「旅券」という言葉が使われたことから、毎年2月20日は「旅券の日」となっています。
そして第二次世界大戦が開幕し日本人は海外渡航が禁止されました。終戦後もGHQの許可が出ないと海外旅行はできませんでした。1951年にサンフランシスコ平和条約が締結されたことで、海外渡航が可能に。
(3)セキュリティの高さが信頼の理由
オリンピック・パラリンピックを目前に、令和2年2月4日より新しいデザインで発行されるようになりました。新しいデザインは、日本を代表する浮世絵師 葛飾北斎の「冨嶽三十六景」です。パスポートは周期はだいたい5~7年ごとに更新されており、前回は2013年でした。
デザイン変更は偽変造のセキュリティ対策のために必要不可欠です。パスポートは日本国民の証明書・公文書であり、偽造されると不正な出入国や反社会的勢力の国外逃亡へつながってしまいます。そのため、偽変造されないよう、セキュリティの向上と定期的なデザイン更新が求められます。パスポートは、紙幣と同じ国立印刷局で発行されています。透かすと文字や絵が出たり、傾けると装飾が浮き上がって見えたりといった高度が技術が使われています。セキュリティ技術と外交の甲斐によって、日本のパスポートが信頼されているといえます。
パスポートの種類
日本では4人に1人がパスポートを持っているといわれています。毎年2月20日(旅券の日)に発表される統計では、2019年に発行されたパスポートは約450万冊で、有効なパスポートは約3030万冊も存在していると発表されました。
日本には以下の通り「(一般)旅券」「公用旅券」「外交旅券」「緊急旅券」の4種類のパスポートがあります。
(1)(一般)旅券
有効期間は、「5年用」(紺色)と「10年用」(赤色)の2種類があります。申請・取得の際、成人者(20歳以上)は「5年用」か「10年用」を選択できますが、未成年者は「10年用」の発行はできません。これは「未成年者は、成長に伴う容貌の変動が著しい」とされているためです。
現在は、期限内なら何度でも出帰国できる「数次旅券」が原則となっていますが、1989年(平成元年)の旅券法改正までは1回の渡航のみに使用できる「一次旅券」も自由に申請・取得できました。通常は、渡航先が全ての国家と地域となっています]が、犯罪を犯したり検察庁から公訴を提起されている者や仮出所中など事情がある日本国籍者については、渡航先や有効期限が制限されたパスポート(限定旅券)が交付されたり、申請を却下される事もあります。
(2)公用旅券
国会議員や国家公務員、公的機関の職員(国際協力機構のエージェントや青年海外協力隊の隊員、学術研究機関の学者など)、文化庁の承認する在外研修員が、公務で外国へ渡航する場合に交付されます。緑色の表紙で、一般旅券とは内容も異なり、身分証欄には名義人の官職名や旅行目的が記載されています。
(3)外交旅券
皇后を除く皇族、三権の長(内閣総理大臣、衆議院議長及び参議院議長、最高裁判所長官)、国務大臣や外交官等が公務で渡航する場合に交付されます。濃茶色の表紙で、身分証欄には名義人の官職名があり、「注意」の欄には、旅券法違反時の罰則についての説明書きが無いのが特徴です。
(4)緊急旅券
在外公館に設置された旅券作成機が、故障等で交付が不可能で、なおかつ、本国外務省での旅券交付を待機する時間的余裕がない場合や、帰国のための渡航書の交付基準に該当しない者に交付されます。茶色の表紙で有効期限は1年とされています。
申請先のしかた
最後にパスポートの申請から受領までの手順を紹介します。
(1)書類を揃える
パスポートを申請するためには次の書類が必要です。
◆一般旅券発給申請書 1通
「ダウンロード申請書」又は手書き書式(パスポート申請窓口で入手可能)の申請書が使用できます。申請書は5年有効なパスポート申請用と10年有効なパスポート申請用の2種類に分けられています。
◆戸籍謄本(または戸籍抄本) 1通
申請日前6か月以内に作成されたものが必要です。
◆住民票の写し 1通
必要となる対象の方は、住民基本台帳ネットワークシステムの利用を希望されない方、住民登録をしていない単身赴任先や就学先等の都道府県で申請される方。
◆写真 1葉
縦45ミリメートル×横35ミリメートルの縁なしで、無背景(無地で淡い色)の写真。申請日前6か月以内に撮影されたもの。
◆申請者本人に間違いないことを確認できる書類
(ア)1点で良い書類(一部のみ掲載)
マイナンバーカード(個人番号カード。通知カードは不可。)、運転免許証、船員手帳など
(イ)2点必要な書類((ア)の書類がない場合)
AとBの各1点、又はAから2点を提示。
A 健康保険証、国民健康保険証、共済組合員証、船員保険証、後期高齢者医療被保険者証、国民年金証書(手帳)、厚生年金証書、船員保険年金証書、恩給証書、共済年金証書、印鑑登録証明書(この場合は登録した印鑑も必要です)等
B 次の内写真が貼ってあるもの
学生証、会社の身分証明書、公の機関が発行した資格証明書等
(2)申請する
上記の書類を全部そろえて、住民登録をしている都道府県のパスポート申請窓口で申請します。申請から受領までに、通常1週間程度(土・日・休日を除く)かかります。未成年者が申請する場合は、親権者(父母又はそのいずれか一方)又は後見人の署名が必要です。また、申請者の代理提出も可能です。申請者が配偶者、二親等以内の親族、その他の代理人に依頼して申請書を提出する場合においても、申請書に申請者本人が記入しなければならない事項がありますので、本人記入の上、パスポート申請に必要な書類とともに各都道府県のパスポート申請窓口に提出して申請を行ってください。
(3)受領する
パスポートを受け取る時には以下のものを持っていきましょう。
◆申請の時に渡された受理票
◆手数料
10年間有効なパスポート(20歳以上):16,000円
5年間有効なパスポート(12歳以上):11,000円
5年間有効なパスポート(12歳未満):6,000円
まとめ
今回はパスポートの期限や手配方法についてご紹介しました。パスポート申請は必要な書類を揃えるのに時間がかかったり、手続きもしっかりしているので申請から発行まではある程度の期間を要することがあります。何か不備があって旅行や出張の日程に間に合わない、ということがないように余裕をもって申請し、海外旅行を楽しみましょう!
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