世界中で加速している新型コロナウイルスのワクチン接種。
そんななか、香港など一部の地域や国では、ワクチン接種を行った人々に対してさまざまな規制を緩和する制度「vaccine bubble(ワクチンバブル)」がつくられはじめています。
海外旅行にも必要となってくるワクチンバブル。今回はワクチンバブルに関する各国・各地域の動きや、規制緩和についてご紹介します。
1.新型コロナワクチンとは
現在、世界各地で接種が行われている新型コロナワクチン。
日本でも徐々に接種が拡大されています。ここでは、新型コロナワクチンの特徴を簡単にご紹介します。
(1)遺伝子を用いたワクチン
日本でも接種することができるファイザー社やモデルナ社のワクチンは、メッセンジャーRNAという核酸(遺伝子)を人体へ注入することで、体内の細胞にウイルス抗原蛋白を生成させます。メッセンジャーRNAは、よく図などで見るコロナウイルスの周囲のトゲトゲの部分だけを、身体の中で安全にそして大量につくる遺伝子です。これにより人体は、コロナウイルスに実際に感染することなく、コロナウイルスの体の一部の特徴的な形だけを記憶して抗体免疫を高めることができます。
(2)ワクチンの接種部位
インフルエンザワクチンのような皮下注射とは異なり、新型コロナワクチンは筋肉注射。皮下注射では肘のすぐ上の部分に接種するのに対して、筋肉注射では肩の近くの三角筋という部分に接種します。針をより深くにさしますが、特別に傷みが強いということはありません。
(3)接種回数
ファイザー社も、モデルナ社も2回の接種が必要。1j回目の接種から、ファイザー社は21日以降、モデルナ社は28日以降に2回目の接種が必要です。3回以上の接種については、研究データがないために推奨されていません。
2.ワクチンバブルとは
ワクチンバブル(vaccine bubble)とは、香港やEUなどの地域において提唱されている制度。
ウィズコロナ時代の経済活動を見据えたもので、ワクチン接種を終えた各個人や団体についてさまざまな規制を緩和しようとするものです。香港では2021年4月にワクチンバブルの概念がは説明されました。
3.各地で行われる規制緩和(EUと香港)
現在おもにワクチンの接種が進んでいることを理由として、各地でさまざまな規制緩和が行われています。ここではEUと香港を例にとり、具体的にどのような措置が行われているのかをご紹介します。
(1)EU
➢域内の渡航制限緩和(2021年6月)
EU加盟国は2021年6月11日、域内の渡航制限の緩和を決定しました。これは新型コロナワクチンの接種を完了した渡航者については、検査や隔離措置を免除するとしたもの。渡航の14日前にワクチン接種を完了すれば、自由にEU域内を移動することが可能になりました。
➢「グリーンパス」の導入(2021年7月)
EUにおいては2021年7月1日より、EUデジタル新型コロナウイルス証明書のことで、ワクチンパスポートとも呼ばれる「グリーンパス」の導入が始まりました。「グリーンパス」は、新型コロナウイルスのワクチン接種を完了した人、PCR検査または抗原検査の結果が陰性だった人、新型コロナウイルス感染症に感染し回復した人のいずれかに該当していれば、取得することが可能です。
証明書の発行はEU各国の国家機関が行い、証明書の取得方法に関する情報提供は各国の保健当局が行っています。
また、「グリーンパス」の特徴として、“デジタル証明書”であることがあげられます。
“デジタル証明書”は、デジタルおよび紙のフォーマットに対応しており、QRコードがついています。すべてのEU加盟国で有効とされ、発行国の言語と英語で発行されるのも特徴的です。
(2)香港
➢「飲食」に関する段階的な規制緩和(2021年4月)
香港政府は、「飲食」に関する規制緩和を3つの段階に分けて実施することを発表しました。段階別の緩和策は次の通りです。
第1段階:
従業員全員がワクチン1回目を接種、全顧客が「安心出行(LeaveHomeSafe)」アプリを利用した場合、1卓利用を6人まで、店内飲食を午前0時まで可能とする。ただし、全座席数の50%、宴会の人数は最大で20人は変更しない。また「安心出行」の代わりに店が用意した紙に個人情報の記入を求める「寫紙仔」は認めない。
第2段階:
全従業員がワクチンを2回接種、全顧客がワクチン1回目を接種しかつ「安心出行」を利用した場合、「Clean Zone」と呼ばれる店の限定エリアで1卓あたり8人まで可能で、宴会人数も上限を100人にすることができる。店内飲食時間も午前2時まで拡大できる。
第3段階:
「Clean Zone」において全従業員と全顧客がワクチン2回接種済みの場合、1卓の人数制限をさらに緩和する。政府としては1卓12人でも問題はないだろうと考えている。
また、営業停止中のサウナ、パーティールーム、バー・パブ、ナイトクラブ、カラオケ、マージャン店については、ワクチン接種レベルに応じて段階的に営業を認める方向を示しました。「飲食」で用いる基準を参考にしつつも、特にバーなどではより厳しい基準を考えるとしました。
➢「隔離措置」に関する規制緩和(2021年4月)
香港政府は「隔離措置」に関する規制緩和も発表。
4月9日から低リスク地域に指定されているオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールからの入境者については、21日間だった強制隔離期間が14日間と改められました。その後7日間の自己健康管理期間は変わらず必要です。さらにワクチン接種済の場合は強制隔離期間が7日となるます。
日本を含む中リスク地域については、入境前にワクチンを接種していた場合には政府指定ホテルでの強制隔離期間が14日間に短縮されます。
➢「トラベルバブル」スキームへの参加(2021年4月)
「ワクチンバブル」のなかでも特に旅行に関するものは「トラベルバブル」と呼ばれることがあります。香港政府は、ワクチン接種を終えた香港市民のみトラベルバブルのスキームに参加可能で、香港政府と外国政府が同意すればホテルでの強制検疫の期間短縮などが可能になるとしました。
➢「中国本土との往来」に関する規制緩和(2021年4月)
香港政府は「中国本土との往来」に関しての規制緩和策も併せて発表しました。
越境貨物車両の運転手がワクチン接種済みであれば、検疫免除またはウイルス検査義務の緩和を行うなどといった策が検討されています。
また香港居民が広東省から入境する場合に検疫を免除する仕組み、「回港易(Return2hk)」については、4月末までに対象地域を中国本土の他地域にも拡大するとし、5月からは中国本土の人が香港に入境する際の検疫を免除する「来港易」を実施するとしました。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は「海外旅行に必要なワクチンバブルとは」と題し、“ワクチンバブル”とは何なのか、具体的にはどのような施策がとられているのかについてご紹介しました。少しでも皆さまのお役に立てたら幸いです。
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